2013年4月7日日曜日

うー、まんぼ。


ラテンを演奏していると、時々「Mambo!」とか「Whoo!」とか譜面に書いてあって、どうしていいんだか。

ニューサウンズの「ウエスト・サイド・ストーリー・メドレー」でこのテのかけ声に初めて出会ったという方は多いのでは?
高校生は多感なお年頃。いかに譜面の指示であってもバカでかい声を出すのは死ぬほど恥ずかしいものです。結果、中途半端なかけ声になってしまい、「まんぼ。」などと残念な感じに終わってしまいます。「う。」に至っては「具合悪いの?」と指揮者に心配される始末。

当番が入った高校の吹奏楽部はちょっと毛色が変わっていて、演奏するポップスのかなりの部分をダンスミュージックが占めていました。タンゴ、ルンバ、パソドブレ、ビギン、サンバ、チャチャそしてマンボ。昭和末期とはいえ当時の高校としてはかなり珍しいのではないでしょうか?

当時の高校吹奏楽界はアルフレッド・リードが全盛で、大編成の学校は、こぞって演っていたものでした。
ウチもやりましたよ、アルフレッド。「ハウゼ」の方ですけどね。ある日、まじめな顔でホルンの女の子に「猟犬やりたいなあ」と言ったら、「あんたねえ、やりたい曲とできる曲は違うのよ!」と一喝され、この言葉はいまだに当番の中で名言として生きています。いや、向上心がないといえばそれまでですが、やはりそのバンドの身の丈にあった選曲は大事だと思います。

脱線しました。が、元々このブログには本線がないことをご了承ください。

で、死ぬほど恥ずかしいラテンのかけ声を1ステージで何度もやらされるのですが、あれはどうやってかければいいんでしょうか。

あのかけ声は「マンボ王」ペレス・プラード(1916ー89 キューバ→メキシコ)が広めたもので、レコーディング中、あまりのノリの良さに思わず叫んだと本人が言っています。ペレス・プラードといって分からない方は、「マンボNo.5」をご覧になれば、お分かりになるでしょう。ここで真ん中でかけ声をかけながら踊っているおじさんがペレス・プラード大先生です。絶好調ですね。そう言や歌わされたわ「シ、シ、シ、ヨケーロマンボ、マンボ」ってね。芸のためとは言え、なかなかつらかったなあ。

で、これがほんとに「ウーッ!」といっているのかというと意外や意外「ディロ!」と言っていたのよ、奥さん、知ってた?
スペイン語で"dilo"は英語で"Say it!"「それいけ!」と、バンドをあおるための合いの手の意味があって、そう知って聴けばそう聞こえます。では、ペレス・プラードの特徴が最もよく出ている動画を見てみましょう。" El Ruletero"(タクシー運転手のマンボ)です。どうですか。素晴らしいじゃありませんか!歌って踊るバンドマスター。左隅でマラカスを振っている人がいいですね。

もっと過激なやつを。"Mambo No.8"。踊りはほとんどラジオ体操。Mambo No.1~4,6,7はどうしたんだ、という疑問はごもっともですが、そこはラテンのノリ。最初(ハナ)からそんなものはない。

最もよく"dilo!"と聞こえているのがこの部分。"Si Si…"のあと、たしかに"dilo!"と言ってい(るように聞こえ)ますよね、ね。

で、当番も練習してみました、高速を走る車中で。最初はどう発音していいか分からず試行錯誤しましたが、岐阜から浜松までの間に完成しました。

"dilo!"と発音しようと最大限の努力をしつつ、「ディオ!」に近い発声にするといいようです。ちょうど「ディ」が金管楽器のタンギングの役割をし、破壊力が増します。音そのものは、喉を大きく開き、後頭部で共鳴させるように、音程は「ディ」の「ィ」を最も高く発声します。
浜松から厚木まで、「ディロ!」「ディロ!」で眠気知らず。同乗者がないのも幸いでした。

悩める若人よ、これからは「ア〜、ディロ!」(と言っても、恥ずかしさが消えるワケではありません。)

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